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ゼロ年代の日本社会と山田昌弘氏



 先日、私の勤務先の大学で、山田昌弘氏に来てもらって、講演会と研究会を開催した。

 直接会った人のことをネット上で書くことは、あまりいいコミュニケーションのあり方ではないような気がするので、このブログでは原則としてしない方針だが、氏は著名人だし、再びお会いする機会もなかなかないだろうから、よしとしよう。

 氏はゼロ年代の日本で最も大きな仕事をした社会学者の一人であるといってよいだろう。「パラサイト・シングル」「希望格差」「婚活」といった氏による新造語をはじめとして、彼のここ十数年の仕事は、日本人の自己認識と社会認識を大きく向上させるものであった。

 氏の仕事、とりわけその新造語は、多くの人の心をつかむらしく、社会学の授業で氏の仕事にふれると学生たちの反応がいいように感じられる。香港でも「単身寄生族」(パラサイト・シングル)を語ることが、「隠蔽青年」(引きこもり青年)を語ることと並んで、流行しているという(韓江雪・雛崇銘編『香港的憂悶』Oxford University Press、2006、ix。この頁の文章には2007年の日付が入っている)。氏の仕事の浸透力は、おそらくは東アジアではとくに、高いのだと思われる。

 一連の研究には、とくに斬新な方法や特別な問題意識があるわけではなく、いたってまっとうな調査とまっとうな考察があるだけである。それでもこれだけの仕事ができることには驚きを感じるし、知的洞察・知的貢献とは、とりわけ社会学において、どうありえるのか、改めて考えさせられる。

 「いま社会でも求められる能力とは?」というタイトルの講演会と「なぜ若者は保守化するのか ─ 希望格差時代の若者たち」というタイトルの研究会は、それぞれの聴衆の特徴に配慮した、とてもよいもので、私もいろいろな意味で勉強になった。それぞれの概要は次のサイトにあります。

http://www.kyotogakuen.ac.jp/eco-news/6_4cda7b440d446/index.html
http://www.kyotogakuen.ac.jp/eco-news/6_4cda7e29455b1/index.html
by kohkawata | 2010-11-15 10:35 | 現代日本の文化 | Comments(0)